高齢者の誤嚥性肺炎の予防の方法と薬剤、体操や運動とは?
高齢になり、嚥下機能の低下に伴い増加する誤嚥性肺炎ですが、治療をしても再発を防止しなければ、何度も繰り返すことになります。
繰り返し罹患することにより、原因菌に抗生物質への耐性が出来てしまい治りにくくなります。そこで、誤嚥性肺炎を繰り返さないための予防法、予防薬、予防のための体操や運動などについて調べてみました。
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高齢者の誤嚥性肺炎の予防方法
まず挙げられるのが「口腔ケア」です。細菌の繁殖には、「栄養、水分、温度」の3要素が必要なため、口腔内を清潔に保たないでいると、原因菌が繁殖し、気道に入ってしまうことにより肺炎を起こします。
誤嚥性肺炎の原因菌とは、口腔内に常在する菌の他、歯周病原因菌や、黄色ブドウ球菌、大腸菌などです。口腔ケアとは、具体的には
・うがい、歯磨きなどの口腔内洗浄
・歯や歯茎へのフッ素化合物の塗布
・義歯の洗浄
・乾燥の防止
・口腔の検診
・咀嚼筋、舌の運動(リハビリ)
などを行うことです。
高齢者の誤嚥性肺炎の予防薬
嚥下機能の低下、咳反射の低下により誤嚥を起こしやすくなります。そのため、嚥下反射、咳反射を回復、亢進させる薬により予防することが出来ます。以前から知られているのは「ACE阻害薬」です。
最近では、ACE阻害薬と同様にドパミン作動を促す「アマンタジン」も誤嚥を予防し、肺炎の発症を減少させるということがわかっています。
また、トウガラシに含まれるカプサイシンに嚥下反射を回復する機能があることも知られています。
誤嚥性肺炎予防の体操や運動
誤嚥を予防するための体操、運動について調べてみると「健口体操」「ごっくん運動」「嚥下体操」などがありますが、内容はどれもほとんど同じです。
大きくわけて、3つの運動があります。
「舌の運動」
「頬、口の運動」
「のどの運動」
舌の運動とは
・舌を出したりひっこめたりする
・唇の右側、左側を舐める
・頬の内側をぐるりと舐める などします。
頬、口の運動は
・頬を思い切り膨らませる、すぼませる
・口を大きく開け、「あー」「いー」「うー」と言う などします。
のどの運動は
・発声練習(大きな声でパ・タ・カ・ラと繰り返すなど)
・咳払いの練習をする
・深呼吸をする
・嚥下のビデオ、アニメーションを見て正しい飲み下しのイメージトレーニング
などを行うのです。
この他に、緊張をほぐすため「肩を上下に動かす運動」や「ゆっくりと首を回す」「左右にゆらす」「腕を上げて伸びをする」などの運動もあります。
その他の予防法や食事の時の姿勢など
食事の際は前かがみの姿勢をとるとよいようです。椅子で食べる場合はもちろんですが、介護が必要なお年寄りも、寝たきりにせずに、上体を起こした姿勢で食事をすることが大切です。
また、ゲップなどによる食事の逆流でも誤嚥は起こりますので、食後2時間ぐらいは座った姿勢を保ち、逆流を防ぐようにしましょう。
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